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自分を変えたいと思う人に観てほしい、2023年クレヨンしんちゃんの映画「しん次元!クレヨンしんちゃんTHE MOVIE 超能力大決戦 とべとべ手巻き寿司」

こんにちは。南瓜鳥のDoroCZです!

先日、8月4日公開の

「しん次元!クレヨンしんちゃんTHE MOVIE 超能力大決戦 とべとべ手巻き寿司」
を観に行ってきましたので、思い出しながら感想を書いていきたいと思います。

告知用のポスターを見た時には「絶対に観に行く事はないだろう」と思っていたのですが、何の巡り合わせか観ることになりました。

【ネタバレ回避】
結論から言いますと、想像以上に良い作品でした。
しかし、賛否別れそうな作品だとも感じました。
クレヨンしんちゃんの世界を丁寧に3Dで表現しているところや20代から40代オーバーの「ネタを知っている世代」がクスっとできるような要素もあり個人的にはなかなか面白かったです。
ストーリー面では、原作の漫画と同じかそれ以上に現代の俗っぽい話に切り込んでいて社会派な一面も見えています。
ただ、それだけに設定の作り込みや物語の進め方が甘いと思うシーンもありました。

カンタムロボがとてもかっこいいので、それだけでも観に行く価値はあると思います。

 

↓ここからはネタバレを含む話を書いていますのでご注意ください。

 

 

では、ここからネタバレありで話を進めていきます。
これから観る予定の方やネタバレを避けたい方は、ここでブラウザバックをしてください。そして映画を観たらまたこの記事を読みに来てくれると嬉しいです。

「3Dでも良いじゃん!」と思えるクオリティ

この映画はクレヨンしんちゃんで初の3D映画だと思うのですが、それが作品の良さに現れていましたね。
最初の日常を描いていくシーンでは、みさえの動きが少し不自然に見える箇所がありました。もちろんギャグ空間なので重力の動き方が変という話は割愛します。
後半にかけてその不自然さが消えていくので余裕がある方はもう一度冒頭のシーンを見てみると良いのかもしれませんね。
冒頭のしんちゃんとみさえの追いかけっこはこの作品が3Dであるということやキャラクターの性格や関係性をアピールするための、いわば土台のような役割を持ってるのでしょう。

これは映画全体を通して感じたことですが、粘土のようなマットな質感がクレヨンしんちゃんの世界観にマッチしている上に、キャラクターの表情が細かく用意されていて「3Dの作品も良いな」と素直に思うことができました。

ひろしの「ゲッ…!(;`=Д=)」という表情がもっと見たかった( ´∀` )

普段アニメで見る幼稚園や駅前の背景も3D化されていて少し感動しました。
欲を言えば、もっと背景ごと動かすようなシーンが欲しかったです。
アニメでも普段見ないような構図で動いてくれたらもっと世界観に奥行きが出そうな、そんな可能性を感じました。

微妙だった部分

無理やりな方言

物語は進み、しんちゃんと敵役の充(みつる)がそれぞれ超能力を手に入れて力の使い方を覚えていきます。
正直、この辺りのシーンは少し退屈でした。
無理に方言を使って超能力や予言を説明する必要があったのでしょうか。

退屈に感じるくらいならもうちょっと真剣に話してくれよと言いたい…。

もしかしたらあえてつまらないギャグを入れることによって、小ネタを挟んだときにクスっと笑えるような高度なお笑い戦略があったのかもしれないですね。

手巻寿司

よくわからないつながりで言えば手巻寿司のくだりもよくわからなかったです。

親が離婚するため、家族最後の食事が手巻寿司だった充と

しんちゃんの頑張りを認めて家族で楽しく食べる手巻寿司

と言う対比を作りたかったのでしょうか?

家族の団欒の表現として手巻寿司を使いたかったのでしょうか?
この辺りで過去作のヤキニクロードを思い浮かべた方もいたと思います。


この映画の象徴として出てくる手巻寿司。


「おぉ良いな…!」と思う前になぜ選んだのが手巻寿司だったのかと言う疑問が先に来てしまって集中できませんでした。

賛否分かれそうな部分

続いて冒頭に書いた賛否分かれそうな部分です。
予め申し上げますが、下記の属性を持つ人をバカにしたり、見下すような意図は一切ございません。

 

敵役の充(ミツル)は、絵に描いたようないわゆる弱者男性。
子供の頃は友達がいない上いじめられ、推しのために生活費を削って生き、こうなったのは世の中が悪いと絶望している…そんな人物です。


ここ数年、世間でもこういった人たちの存在をインターネットでよく目にします。
この3D映画の制作にどれ程の時間がかかったのか存じませんが、

「確かに『ひと昔前は』こういう人がいたよねー」

と昔の話にできないということが一過性のものでないことを物語っていると思います。

そういった流行りの属性が彼のように全乗せされている人も実在することでしょう。


そんな彼が、突然超能力に目覚め、破壊や犯罪の限りを尽くしていきます…がクレヨンしんちゃんなのでそこまで緊張感のある演出にはなりません。

意外と「急に力を持ってもできることなんてたかが知れてる」という話なのかもしれませんね。

 

…でもよく考えたら、秘密基地が破壊されたときにあの地で負のエネルギーを貯めていた引きこもりたちはどうなったんでしょうね…(゚д゚lll)

やっぱりロボットってかっこいいよね

そして、しんちゃんが巨大化した敵とカンタムで戦います。

ここはガンダム色全開(笑)音楽の力で〜はマクロスの系統なのかな?

かつての温泉わくわく大決戦の自衛隊シーンの如く、スタッフの全力が見られます。
敵のデザインも結構ホラーなのもポイント高い!
やはりロボットは子供心くすぐられますね。カンタムかっこいい!!とキラキラしました。

カンタムのテーマソングが一瞬しか出てこなかったのが笑いました…歌詞が感性豊かな人には効いちゃうからね…合体ぃぃぃ〜( ´∀`)

もっと長く見せ場を作ってくれ!ってレベルでこのシーンは好きです。

精神世界での戦いとこの映画で一番伝えたかったこと

あなたは自分と向き合えますか

そして戦いは佳境に入り敵の体内に入って、充の過去の記憶に干渉します。

説教くさいというか、なんというか…「こんなのクレヨンしんちゃんじゃない!」と思う方もいらっしゃるだろうなぁと考えながら観ていました。なんと邪な…。

ですが、好きなもので繋がること

やってみてできることの楽しさを覚えること

時には根性を見せて苦しくても諦めないこと

そんな時に一緒に前を見てくれる人の存在

これは生きていく上で大切なものだと思います。

そして負の要素として描かれていますが、

孤独さを知ることもまた、大切なことではないでしょうか。

 

個人的にはしんちゃんのようにウザすぎない程度に言うことは言える大人になりたいなと思いました。
しかし、自宅かその周辺しか思い出がないというのも悲しすぎる…。

そういうわけではないと思いたいですが…。

戦いが終わり…

己の過去に向き合って打ち勝つという感動的な戦いが終わり、もう一つ。
今度はひろしのお話パートが始まります。

ツッコミどころがいくつかありますがまずは内容から。


印象に残った部分を適当にまとめると、

「景気が悪くても、国が悪くても、結局は生きていかなきゃいけない。がんばれ。」

という内容でした。

絶対ふざけんな!って思った人いるでしょ!!と思うところはありましたが、これも真実だと思いました。
何かのせいにして生きていくのは楽だけどやるせない。

対象が自分の行動でどうにもできないなら尚更そう思います。


しかし「自分から行動して変えられることもある」ということを忘れないように過ごしていきたいですね。

 

では、ツッコミどころ。
ひろしの語り草が昭和を過ごした人間のそれ。35歳だよな…?
時空歪みすぎでしょ!


「俺たちの時代は働けば働くほど幸せが見える時代だった」という内容のセリフから、過去作のオトナ帝国の夕焼けが見えた気がしました。

で、なんやかんやあって充青年は前を向いて、みんなで手巻き寿司パーティをして終わり。
エンディングは原作マンガ風にキャラクターが描かれていて、控えめに言って最高でした。曲もこの映画で伝えたかったことなんだろうなという歌詞と、曲調が映像に合っていて結構好きです。

結局引っかかったのはストーリーと〇〇〇〇

まず最初に思うことが、要素が多すぎる。
手巻き寿司や弱者男性、ロボット、年代ネタ、クレヨンしんちゃん、説教くさいセリフの数々…。
よくここまでまとめた!と思う反面まだ散らかっているなと感じました。
変に現実味のある敵役も、設定に負けてしまっている感があります。

現実だったら多分こんな素直な子に育たない気がする…。

過去の記憶が改ざんされたので最早別人になってしまったと言えなくもないでょう。


〇〇だからここの設定が〇〇になる。という設定や演出の結び方はわかるのですが、できればもう一声欲しいですね。


今回の映画で伝えたかったこと、内容は良いのですが、多分私が18歳前後の頃に観ていたら理解を示すことはなかったと思いました。
「がんばれ」で済まされてしまうんだ、と。

 

なぜ、この映画がタイトルのような人にオススメなのか

最後にこの映画を観て言いたいことを述べますが、

「がんばれ」という言葉は前を向こうとする人にはとても心強いのですが、その気がない人やそれが逆方向に効いてしまう人もいるのが現実でしょう。

人間は、何かを引き摺ったまま生きていくのは難しいことだと思います。

せめて、背負える段階に来てからようやく前に進めるのではないでしょうか。

自身の過去を振り返り、一度思考や感情をニュートラルにして、現実を受け止めて…もしくは受け止めようとしている人にこそこの映画は刺さる気がしました。

 

全てが満たされた幸せな人はほぼいません。

一人一人抱かえているものは異なります。

暗いニュースが多い世の中だなと感じることも増えましたが、そんな中でも輝く幸せを自分の手で掴んでいきたいですね。

 

最後までお読みいただきありがとうございました。

 

追記:

ここまで整理して改めて思った。

映画ポスターの評価は☆1以下にしたい。

つまらない思い付きだけど、ガンダムのパロディぐらいやって突き抜けてほしかった。